ああ、バルナックライカのようなデジタルカメラがあったなら
「最高」というのはもちろん僕のカメラデザイン観であることは言うまでもありません。
僕はクラシカルなデザインのカメラが大好きです。
初めは定番の一眼レフタイプのカメラを使っていましたが、いろんなタイプのカメラを使っていくうちに、いつの間にかデザインの好みが変わっていったのです。
特にバルナック型のカメラが大好きで、長い間「ゾルキー1」という旧ソ連製のフィルムカメラを使っていました。
デジタルカメラでもそんなデザインがあればいいのにと思うこともしばしば。
かつてEPSONの「R-D1」というレンジファインダーデジタルカメラが発売された時は、もう喉から出るほど欲しかったのを思い出します。
当時は高くてとても買えませんでしたが、いまでもなかなかの中古価格で、人気の高さを思い知らされます。
そんな日々を送っていましたら、手持ちのデジタルカメラのデザインに少し飽きがきてしまいまして。
気持ちを上げるために新しいレンズを買うか、はたまた新しいカメラを買い替えるかという散財の道に踏み込もうとしておりました。
予算内でいい感じにクラシカルなデジタルカメラはないものかとネットの海を泳いでいましたら、ついに見つけてしまったのです。
奇跡のように美しい「OLYMPUS PEN-F」
それがこの「OLYMPUS PEN-F (オリンパス ペンエフ)」。
めえっちゃカッコいい。
「バルナックみたいなデジタルカメラ、あった!」と胸の鼓動が高鳴りました。
2016年発売のミラーレス一眼デジタルカメラです。
ずっと「バルナック型みたいなデジタルカメラがあったら買うのに」などと夢想していたら本当に出会えてしまった。
どうして今まで気づかなかったんだろうと不思議でなりません。
当時に買わなくてOLYMPUSのみなさん本当にスミマセンと謝りたくなりますが、値段を知ると「そりゃ当時の僕では高くて買えなかったろうな」とも思ったり。
往年のOLYMPUSフィルムカメラ「PENF」をイメージされているというマイクロフォーサーズ規格、当時の最上位のPENです。
確かにフィルムPENFの香りもありますが、僕にとってはもう「バルナック型」のイメージが強烈でした。
で、どんなカメラなんだとネットの情報をいろいろ眺めていましたら、性能もさることながらとにかく「持っていることの楽しさ」を語る方がいく人もいる。
ああ、これは幸せな人とカメラの関係だなと思った次第であります。
さて購入かと言う段になってショップを調べてみると、中古価格とはいえ自分にとっては結構な値がついているではないですか。
人気のほどがうかがえますが、さすがに購入ボタンを押す指が震えました。
実際に手元に届いた「OLYMPUS PEN-F 」は大きさ、重さ、質感のバランスがとても良く、眺めても手に持っても心が躍る逸品です。
どうですか、この金属感。
シルバー部分はマットな印象がありますが、日中に持ち歩くとピカピカ輝いて見えます。
発売時、セットで販売していた広角単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 」はブラックでしたが、僕にはバルナック型のイメージに近づけたかったので、シルバー色をチョイスしました。
正直なところ、フードなしだとブラックの方が精悍に見えて「しまった」と思わなくもなかったですが、コンタックスG用メタルフードGG-1をつけると、こんなにカッコよくなります。
隅から隅まで丸が多用されているデザインの軍艦部。
いくぶん装飾過多に感じないこともないですが、中途半端にバランスを取らず思い切りやってくれていますので、機械感が強烈で素晴らしいです。
そしてこの光沢のグラデーション、うっとりします。
背面部。ダイアルだらけですが、それぞれちゃんと使います。
液晶はバリアングルになっていて、しかも表面がシボ加工みたいになっていますので、背面液晶を裏側にして閉じるとちょっとフィルムカメラ気分が味わえてオツです。
僕はバッテリーの節約も兼ねて、撮影も設定も全てファインダーを覗いておこないますのでこの仕様はいい感じです。
欲を言えばバリアングルの部分もベースプレート風になっていたら良かったかなと思ったりします。
そしてこの「PEN-F」には外付けのサムレストは似合わなさそうなところ、あえて本体にサムレスト部を設けてあるのは地味に素敵です。
電源スイッチはわざわざノブをひねる仕様となっています。
フィルムカメラのフィルム巻き上げレバーのデザインを活かすため、電源スイッチの機能を持たせるというOLYMPUSの方の執念。
全然ガタつきがなく、クリック感もしっかりしていてオンオフのたびに指が喜びます。
スイッチのそばには「PEN-F」の刻印がシンプルにあしらわれています。
欲を言えば、刻印されている「PEN-F」の文字の黒線がもう少し細かったら上品で最高だったのになと思ったりします。
なんだか「欲を言えば」ばかり言っているようですが、基本的には「最高だ!」と叫んでいます。
左からモードダイアル、シャッターボタン、露出補正ダイアル。その他ダイアル(適当)。
どれも質感が極上です。
電源スイッチ同様、クリック感が心地よくてたまりません。
モードダイアルはカスタムがC1〜C4まで豊富ですが、僕はいまだに使いこなせずにいます。
そしてなんといっても素晴らしいのがシャッター音と感触。(上級者の方は「シャッターフィール」というみたいですね。僕はちょっと照れくさくて勇気がでません)
「シャキッ!」という小気味良い音と指に伝わる感覚がとにかく素晴らしいです。
ぼーっとしてるとシャッターを切った時にハッとします。
シャッター音と指に伝わる感触というのは機能的にそうなるのか、またはそれも含めてデザインするのか詳しくないのですが、とても偶然ではできないだろうと開発者の心意気に感動します。
シャッタボタンの下に見えるのは、PEN機では初の気合い入りまくりカラープロファイルコントロールの切り替えスイッチ。
これもライカⅢ以降に見られる「低速シャッター設定ダイアル」のデザインを彷彿とさせます。
カラーモードというのはたいていメニューの中に入っているものだと思いますが、ここでもデザインを活かすためにこんな目立つところにカラーモード切り替えの機能を持たせています。
このカラーモードはJPEG用に設計されていますので、RAWでしか撮らないという方は使いませんが、
ただ、ここのクリック感も最高なので、家でこねくり回しているときにこのダイアルをカチカチ動かすという贅沢な使い方も一興です。
ファインダー部。
これもPEN機では唯一PEN-Fに装備されています。
僕はどうしてもファインダーを覗きたい派なので、これがなかったら購入には至らなかったかもしれません。
新品で買ってないのになまいき言ってスミマセン。
アイピースはバリアングルの液晶を開くために独特の形をしています。
PEN-FのファインダーはEVF(というかほとんどのミラーレスはEVFだと思いますが)ですが、フィルムカメラの気分を少しでも味わってもらおうという心づくしなのか、OVFをシミュレーションしたモードも用意されています。
「へえ〜」と言った感じです。お好みでどうぞ。
長く使い続けたいと思わせてくれる魅力に溢れているPEN-F
OLYMPUSのカメラ事業80周年に発売された、愛すべきデジタルカメラ、「オリンパス ペンエフ」。
自戒を込めて、もし当時この魅力に素直に気づいて購入する人がたくさんいたら、この機種の流れはもう少し続いたかもしれません。
今も続く人気ぶりを見ながら、このOLYMPUS PEN-F に関わった人の中に「それみたことか」と思う人がいたとしても、何の不思議もありません。
ようやく手に入れたこのカメラをできるだけ長く使い続けたいですが、いずれ壊れてしまったらまた買い直すかもしれません。
程度のいいものがまだ残っているうちに「もう一台買い足す」というような余裕はちょっとないのですが、
いざ買い直すその時になって、あのとき買い足さなかった自分を激しく叱咤するのでしょうか。
とにかく語り尽くせない程の魅力に溢れたこのカメラ。
これからも存分に楽しんで、また語っていきたいと思っています。
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